マスコミ新人取材マニュアル

マスコミ新人取材マニュアル「親と上司は選べない」「同業他社との結婚は「できちゃった」結婚で」「聞き込みは顔を見て決めろ」
マスコミ志望者は、まずマスコミで働く人の実態を知るべきだ。
元週刊新潮、毎日新聞、朝日新聞記者阪東恭一著(COPY RIGHT 2006)

もくじ

- はじめに

- その1

- その2

- 出版社編集者(書籍、雑誌、マンガ)編

- 付録 ジャーナリズムに関する本と映画の紹介


出版社編集者(書籍、雑誌、マンガ)編

1 作家との付き合い
書籍(マンガ以外)の場合
 作家に好かれることが先決です。競馬が好きな作家だと自分も競馬を覚えて、せっせとつきあうことです。故人?の山口瞳の場合は毎週土日に競馬に付き合わされたらしい。阪東が週刊新潮の時に、某先輩が嘆いていた。新潮で「男性自身」というコラムがあったのでそれの担当になったからです。土日家にいないと家族からブーイングです。その先輩は妻に離婚さた理由にもなっているらしい。
 雑誌の連載小説はそのまま、単行本、文庫本になります。やはり週刊新潮の場合は池波正太郎が「黒白」「剣客商売」、松本清張の「迷走地図」なども雑誌から本になった例です。そのため例の幻冬舎が「パピルス」という赤字の文芸雑誌を続けているのもそのためです。

2 新人賞(小説、文学)
 小説新潮、新潮(新潮社)、オール読物(文春)、文学界(文春)、群像、小説現代(講談社)、すばる、小説すばる【集英社)や河出書房新社の文藝、などは新人賞があり、それを受賞すると小説新潮、オール読物(文春)小説すばる、小説現代は直木賞(中間小説、歴史物、ミステリーなど)の候補作家となれます。
 新潮や文芸、群像、すばるで新人賞を取ると芥川賞の候補作家となります。


3 マンガ
 漫画の世界は阪東恭一はよく分からない。誰かOBの方、助けて下さい。
 知っている範囲でいうと以下になる。
 編集者としてはより、文芸より原始的です。マンガ作家の自宅で待機は当たり前だそうですす。マンガ作家が大変なのは編集者が自宅に詰めているので、書けない時にどうやって編集者の目を眩まして逃げるかだ。
 逃げる手口としては「タバコを買いにいく」「かみさんに言われゴミを捨てにいく」があります。逃げられると雑誌から「落ちる」ことになり、編集長から怒鳴られるのはもちろん、屑扱いです。部屋から出さない。タバコやゴミ捨ては自分(編集者)がやるのことになります。逃げる作家として有名なのは、女性のイラストがうまいキクチ?です。
 賞は、手塚治賞などがあるので、新人はそれを取るが、漫画雑誌のアンケートで上位に来れば、つまり人気がでて単行本にした時に100万部売れるなど商売になればそれでいいのです。文学や小説より、「地位」が低いのはその商業主義のためです。
 また集英社などが巨額費用で「新人のタマゴ」まで囲っているので、なかなか、他の出版社が手を足せないのも音羽一橋グループが独走している理由としてあります。

4 クレヨンしんちゃん 
お下品で顰蹙(ひんしゅく)で禁止されている国もあるクレヨンしんちゃん(マンガのコンテンツ)。
 ただし、コンテンツとしては中国(著作権がほとんどない、政府が部分規制している)や韓国など東アジアを中心に、全世界で(ガキに)売れている。
 ガキにとっては漫画に「国境」はない。下品(クレヨンシンちゃんは仏西などで悪害図書として禁止)で、ぐたらなくおもしろい、夢がある、絵がきれいな日本の漫画(ジャパニメーション)が世界制覇する日も近い?
 「しんちゃん」以外でも「ピカちゅう」「スラムダンク」「ドラえもん」など無数のマンガが席巻している。
したがって文芸の新潮社や文春や河出は落ちぶれる一方です。週刊誌で健闘してもたかが60万部(週刊新潮)や70〜80万部(週刊文春)です。
 漫画とケタが違う。
 「テレビの普及の結果、国民総白痴化になる」(大宅壮一文庫の創設者で評論家の故大宅壮一の言葉)、ではないが出版の世界でも「悪貨は良貨を駆逐する」のです。
 まもなく出版の広告売り上げ高がインターネットの広告高に抜かれるのもまもなくだ。

5 編集プロダクションはステップアップに使う
 出版業界は斜陽です。出版社は経費節減のために編集プロダクションを使っています。
新卒で出版社に入れず、編集プロダクションに入る場合は、国民健保、国民年金はまず自己負担なので注意を。
 給与や休暇などの待遇は悪い。しかし下請けなのでいろんな仕事(雑誌、単行本)などの編集をやるので、仕事を覚えることになる。

6 「噂の真相」の復刊はあるか?
 「ウラを取らないで、記事にする」というすばらしい方針の「噂の真相」は1995年ごろ廃刊になった。理由は裁判で負けて、弁護費用や慰謝料が払えないことにある。
 新聞記者や週刊誌記者のハギ溜めだった同誌の存在は大きい。
 日本はさまざまな宗教団体や過激派(左右の)や巨大な電機や自動車メーカーや電力会社からの「広告」という形での圧力がある。
 憲法の「表現の自由」は皇室もふくめて、なかなか「自主規制」がある。
 また「エセ人権団体」という存在もやっかいだ。
 看護婦が女性の看護士などまどろっこし表現、ボケ老人、アルツハイマー病は「認知症」、阪東恭一が経験したのは「ダウン症」を「蒙古症」と朝日新聞で書いたら(しかもダウン症の施設建設反対のエゴ住民運動を撃沈する記事なのに)、抗議(少し厭味)の電話があった。「白痴」がなぜいけないのか?わざわさ知的障害や自閉症といいかえないといけないのか。本音、真実、差別とは違う意味の分かりやすい表現はどうあるべきか若い皆さん考えて欲しい。

7 週刊誌は新聞蛸壺論
 新聞や放送は影響力があまりに大きいので、よく、記者からおさがりの「ネタ」を週刊誌記者はもらうことがある。
 それぐらい記事にできないことは多い。スキャンダルも基本的に新聞や放送はダメだ。
 取引して週刊誌記者に渡したり、スポーツ新聞に流すことがある。
 その代わりに情報源として利用する。芸能リポーターも中には、そういう放送や新聞の記者とつきあいあるのがいる。芸能レポーターの「老舗」の梨元と阪東恭一と親しい。「情報の交換」をすることをさかにすれば阪東恭一が「情報センター」になっている場合も様々な事件やスキャンダルについてあった。

8 出版社と新聞放送の違い
 出版社は農耕民族型だ。タネ(作家やネタ元の拡大)を蒔いて、時期(必要とした時)に収穫(情報を貰う、賞をやる、連載作家にする)を行う。
 新聞放送の記者の場合は、狩猟民族型で、とにかく押しまくり、ネタを強奪する。作家を奪う。朝日新聞のように毎日新聞の将棋の名人戦を金にまかせて強奪したケースもある。時間や締切りがあるので、仕方のないことだ。短期決戦でもある。
 しかし、一方で、専門分野を確立すると強い。
 地方紙などでは、同じ分野(部署)を何回もやる場合がある。
 日経の友人で、特派員でモスクワに若い30代で1回、45歳で1回と計2回というケースもあった。
 この場合はこまめに年賀状を書いたりして「秘書」「作家」「官僚」などの「情報元」とつないでおくことが大切だ。これはマスコミに係わるすべての人に共通の事項である。
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9 クラマーズハイ
200509に1回目、200609に「放送基金賞受賞」で再放送のNHKのクラマーズハイ見ていると、自分も同じ時代だけに。記者の仕事と家庭の両立の難しさが。ちなみに同名の原作の作家、横山秀夫の本の方がいいらしいけど。阪東には落ちた時は週刊新潮で取材していて、番組が時間(JAL123便は18時25分に静岡沖で機影が消えて、羽田詰めの時事の記者の大スクープで、週刊新潮でデスクとその記者の座談会やったので覚えています。あまりに、なまなましくてNHKドラマでさえ見る気分にならない。あの事故の座席表の原本持ってますが、あの事故のあとに、遺族の7人の妻が子供を生んでます。「父親の
生まれ変わりの子供」です。当時はサンデー毎日記者で、スクープでした。もちろん阪東のではありません。人は事故原因よりも美談、悲劇が好きだと分かりました。

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